先に結論です。転職活動は、求人をたくさん見ることから始めなくて大丈夫です。

最初は求人検索ではなく、現職で変えたいこと、持ち出せる経験、譲れない条件を各3行だけ書きます。この3行が、求人を選ぶときの基準です。

「転職活動を始めたい。でも、何から手を付ければいい?」と迷っていませんか。求人サイトを開くと情報は増えますが、自分の基準がないままでは、年収や会社名だけで比べがちです。

この記事では、求人を見る前の30分で終える作業を示します。自己分析を完成させる必要はありません。3つのメモを書き、応募開始・情報収集・相談のどこへ進むかを決めましょう。

転職活動は何から始める?求人検索の前に3行メモを作る

3行メモは、求人票を読む前に「何を変えたいか」と「何を生かせるか」を分けるための道具です。

先に求人を見ると、そこに書かれた条件が自分の基準にすり替わります。年収や勤務地の欄が並んでいるので、そこだけで比べてしまうためです。最初から転職理由を立派にしたり、強みを一語に決めたりしなくて構いません。

在職中の転職活動は、準備活動から始める進め方が厚生労働省のマイジョブ・カードで示されています。同ページが引く令和2年の調査では、準備活動を行った人は転職者全体の30.9%でした。この記事では、その準備を初日の30分へ絞ります。

3つのメモのうち、いま最も書きにくいのはどれでしょうか? その欄を覚えておくと、30分後の行動を選びやすくなります。

求人を先に見てはいけないのか、と思ったかもしれません。見ても構いません。ただし、応募先を決める前に3行メモへ戻りましょう。気になった求人は、自分の基準を見つける材料として使えます。

初日の目的は、転職方針を完成させることではありません。次に調べることを一つ選べれば完了です。

求人を見る前の30分で3つだけ決める

紙かメモアプリを三つに分け、各欄を10分、3行で止めます。

10分ごとの欄書くこと初日の完了
1つ目現職で変えたいこと出来事と、次に変えたい状態が書けた
2つ目持ち出せる経験繰り返した行動を三つ書けた
3つ目譲れない条件必須条件を一つ選べた

うまく書こうとしないでください。1行は一つの事実か判断です。空欄が残っても、その空欄が次の行動を教えてくれます。

求人を見る前の30分で作る3つのメモ

この30分では、転職先の職種や会社を決めません。変えたいこと・経験・条件を混ぜないことが大切です。

1. 現職で変えたいことを3行にする

不満を並べるのではなく、起きた出来事から書きます。 次の3行です。

  • 最近つらい、または困った出来事
  • その出来事が続くと困る状態
  • 次の職場で変えたい状態

たとえば「残業が多い」だけで止めません。「締め切り直前の依頼が続く」「平日の予定を立てられない」「次は業務予定を共有できる職場を選びたい」と分けてみましょう。

この書き方なら、現職の悪口ではなく、次の職場を選ぶ基準へ変わります。原因を断定できない場合は、実際に起きた出来事だけを残してください。

転職理由はきれいな言葉にしなくてよい

最初から面接用の転職理由を作る必要はありません。初日は、自分が確認できる出来事と、次に変えたい状態が分かれば十分です。

不満が多すぎる場合は、「それが変われば転職しなくてもよい」と思えるものを一つ選びます。選べないなら、今は応募より情報収集が先です。

2. 持ち出せる経験を3行にする

職種名や強みの名前ではなく、直近1年で繰り返した行動を三つ書ければ初日は十分です。

「営業」「事務」のような肩書きだけでは、次の職場で何ができるか分かりません。次の形で、実際の行動を一行ずつ書き出してください。

  • 顧客の要望を聞き、社内の担当者へ伝えた
  • 数字の間違いを見つけ、提出前に直した
  • 予定から逆算し、必要な資料を準備した

3つとも成果の大きさは問いません。繰り返した行動なら、応募先の仕事と接続できる可能性があるためです。

私が採用担当として応募書類を見るときも、職種名より繰り返した行動を確認します。入社後にその人が何をしている姿なのかを、こちらが想像できるかどうかが分かれ目です。

経験が出ないときは、転職の自己分析を30分で進める方法で、事実と自分の解釈を分けてみてください。

強みは行動を書いた後で名づける

先に「調整力」や「正確さ」と決めると、言葉に合う経験を無理に探してしまいます。行動を三つ書いた後で、共通する進め方に名前を付けましょう。

初日の自己分析は完成させません。現職で変えたいこと・持ち出せる経験・譲れない条件を各3行にして、次の一手を選べるところで止めます。

これは統計ではなく、転職支援と採用の場面で使う実務上の判断です。初日に決め切るのではなく、求人を読んでから書き直せる仮の材料です。

3. 譲れない条件を3行にする

希望条件をすべて並べると、求人を選べなくなりがちです。初日は、次の三つへ分けましょう。

優先度意味
必須欠けると転職理由を解決できない平日の勤務終了時刻
できれば比較するときに使う在宅勤務の回数
今回は求めない初回の検索条件に入れない役職名

初日は必須を一つに絞ります。二つ目以降は「できれば」へ入れてください。求人を読み始めてからは三つまで増やして構いませんが、初日から三つ立てると、埋まらない欄のほうが先に増えます。求人が極端に少なければ、必須条件の言葉や範囲を見直してください。

私が面接で希望条件を聞くときも、条件を五つ挙げる人より、一つを理由つきで話す人のほうが働き方の像が伝わります。条件が多いと、どれが欠けたら断るのかが本人にも決まっていないことが多いためです。

その条件がかなえば、現職で困っている状態は変わるでしょうか? 「はい」と言えない条件は、必須から外す候補です。

条件に正解はありません。現職で変えたいこととつながっているかを確認します。残業を変えたいのに、必須条件が会社の知名度だけなら、もう一度一つ目のメモへ戻りましょう。

3行メモの不足で次の行動を決める

三つのメモが埋まり、求人票と照らして条件の優先順位を説明できたら応募準備へ進みます。

すべて埋まらなくても失敗ではありません。 空欄に応じて、次の行動を変えましょう。

30分後の状態次にすること今日の終わり方
三つとも書けた求人を3件だけ読み、条件と経験の接点を確認する保存まで。応募は翌日に見直す
経験が書けない過去1年の予定表や業務記録を見て、繰り返した行動を拾う行動を三つ追加する
変えたいこと・条件が書けない求人ではなく、相談で判断基準を整理する質問を一つ作る
3行メモから次の行動を選ぶ分岐

3行書けたら、すぐ応募した方がよいのでしょうか。まず求人を3件だけ比べましょう。条件と経験の接点を説明できない求人は、応募せず保留にしてください。

この分岐があると、自己分析を終わりなく続けずに済む設計です。一方で、焦って応募数だけを増やすことも避けやすいでしょう。

転職活動全体は5段階で進む

今日の30分は、転職活動全体の「準備」に当たります。 その後は、おおむね次の順です。

  • 準備:転職理由、経験、条件を整理する
  • 書類:履歴書と職務経歴書を作る
  • 応募:求人を比べ、応募先を選ぶ
  • 面接:経験と転職理由を説明する
  • 内定・退職:条件を確認し、引き継ぐ

ここで全工程を詳しく覚える必要はありません。初日に必要なのは、1つ目の準備を始めることです。

転職する目的自体がまだ曖昧なら、転職理由が明確でないときの整理方法も使えます。応募前に、現職で変えたいことだけは言葉にしておきましょう。

一人で3行にできないときは相談先を選ぶ

変えたいこと、経験、条件のうち書けない欄を一つ選びます。 その欄を質問として相談先へ持っていきましょう。

「転職すべきですか」と丸ごと尋ねるより、判断に必要な材料を探しやすい聞き方です。たとえば、次のように聞けます。

  • 変えたいことが空欄:「今の働き方で変えたい点をどう切り分けますか」
  • 経験が空欄:「この業務から他社へ持ち出せる行動は何ですか」
  • 条件が空欄:「必須条件と、できればの条件をどう分けますか」

相談先によって、求人紹介が中心か、考えの整理が中心かが違います。転職のキャリア相談先の選び方で、今の空欄に合う相手を選んでください。

よくある質問

転職活動は在職中に始めた方がよいですか?

生活費と判断の余裕を保ちやすいため、まず在職中に情報収集から始める方法があります。ただし、健康や安全に関わる場合は、転職手順より休養や専門窓口への相談を優先してください。

転職サイトへの登録は最初に必要ですか?

登録しなくても3行メモは作れます。メモができた後なら、検索条件を設定しやすくなります。登録時に届く求人を基準へ照らし、合わない条件を外しましょう。

自己分析はどのくらい時間をかけますか?

初日は30分で十分です。その後、求人を読んで経験や条件が不足していると分かったら、必要な欄だけ追加してください。完成してから動くのではなく、比較しながら精度を上げましょう。

転職するか決めていなくても始められますか?

始めて構いません。3行メモは応募の約束ではありません。現職で変えたいことが転職以外で解決できると分かれば、動かない判断にも使えるメモです。

まとめ|最初の30分は3行メモで終える

転職活動は、求人を見る前に三つのメモから始めます。現職で変えたいこと、持ち出せる経験、譲れない条件を各3行にしてください。

三つが埋まれば求人を3件だけ読みます。経験が空欄なら棚卸しへ戻り、目的や条件が空欄なら相談を選びましょう。今日の次の行動が一つ決まれば、初日は完了です。

転職活動の最初を無料相談で整理するなら

転職活動を何から始めるか迷い、3行メモの空欄を一人で埋められないこともあります。その場合は、空欄を一つ選んで無料相談へ持っていきましょう。

相談する前に契約や応募を決める必要はありません。「変えたいこと・経験・条件のうち、何が足りないか」を一緒に整理できるか確認してください。求人紹介を受ける場合も、3行メモは合わない提案を断る基準です。