履歴書のひな形を開いたものの、性別欄や職歴欄の前で手が止まっていませんか。締め切りが近い求人があると、空いた欄を見るだけで気持ちが焦るものです。
手が止まるのは、書く力が足りないからとは限りません。上から順に埋めていくと、判断が要る欄に当たるたびに作業が中断してしまいます。この記事では、厚生労働省履歴書様式例の11の記入欄を三つに分け、迷う欄から先に決めて最後まで書き上げる手順をまとめました。
履歴書に取りかかる前の段取りがまだの方は、転職活動は何から始める?求人を見る前の30分で決める3つの順番で準備の順番を先に決めておくと、応募書類へ移りやすくなります。
様式は、応募先の指定を確かめてから選ぶ
最初に見るのは、求人票や応募要項の「提出書類」の書き方です。様式の指定や、手書きかパソコンかの指定があれば、その指示に合わせてください。厚生労働省の審議会資料でも、履歴書の様式例に法的な拘束力は無く、使うかどうかは個別の企業が判断できるとされています。
指定が見当たらなければ、厚生労働省履歴書様式例を使えば迷いません。これまで広く使われてきたのは、JIS規格(日本産業規格。国が定める工業製品などの規格)の履歴書様式例でした。令和2年7月に性別欄の削除などを求める要請があり、それをきっかけにJIS規格の様式例が削除されたため、厚生労働省が新しく作ったのがこの様式例です。性別欄は任意記載に変わり、配偶者や扶養家族数、通勤時間の欄は設けられていません。
様式例と、書き方を解説したパンフレット「応募書類の作り方」は、ハローワークインターネットサービスの「履歴書・職務経歴書の書き方」で配布されています。PDF版とExcel版があり、どちらもA3とA4の2種類です。パンフレットでは、応募先から様式の指定が無い場合は記載欄が広いA4版を勧めています。
手書きかパソコンかも、同じく応募先しだいです。パンフレットによると、今は「手書きでもパソコンでも構わない」とする企業が多いとのこと。特に指定が無ければ、作成に充てられる時間などで決めてかまいません。
すでに手元にあるひな形を使う場合は、右下を確かめておきましょう。「保護者」欄のある履歴書は、かつてのJIS規格の旧版などにあたり、パンフレットでは使わないよう案内されています。
11の記入欄を、写す欄・自分で決める欄・応募先ごとに変える欄に分ける
様式が決まっても、すぐ1行目から書き始める必要はありません。厚生労働省履歴書様式例の記入欄は11あり、書くかどうかの注記の有無と、応募先で中身が変わるかどうかで次の三つに分けられます。
| 分け方 | 欄 | 根拠 |
|---|---|---|
| 事実を写す欄(6) | 写真/氏名(ふりがな)/生年月日(満年齢)/現住所(ふりがな・電話)/学歴・職歴/免許・資格 | 様式に書くかどうかの注記が無く、応募先が変わっても中身が変わらない |
| 自分で決める欄(3) | 性別/連絡先/本人希望記入欄 | 様式の注記で、書くかどうかや何を書くかが本人に委ねられている |
| 応募先ごとに変える欄(2) | 日付/志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど | パンフレットで、日付は提出日、志望の動機は応募先企業ごとに検討するとされている |

判断が要るのは、自分で決める3欄と応募先ごとに変える2欄を合わせた5欄です。学歴・職歴は事実を写す欄に入りますが、短期間の職歴やアルバイトをどう書くかで手が止まりやすい欄でもあります。そこで、この欄の書き方も先に決めておきます。
書く順番は次のとおりです。
- 自分で決める3欄(性別・連絡先・本人希望記入欄)の中身を決める
- 職歴の書き方を決める
- 事実を写す欄を、手元の資料を見ながら一度に写す
- 応募先ごとに変える2欄を書く
判断を先に済ませておけば、残りは卒業証書や資格の証明書を見ながら写すだけの作業になります。あなたが今止まっている欄は、この表のどこに入っているでしょうか。
なお、企業独自の様式や市販の様式では、欄の数や名前が違う場合もあるでしょう。その場合も、書くかどうかを自分で決める欄と応募先で中身が変わる欄を先に探す、という考え方はそのまま使えます。
性別・連絡先・本人希望記入欄は、様式の注記どおりに決める
この3欄は、様式例の欄の中に書き方の注記が添えられています。迷ったら、まず注記を読むのが近道です。
| 欄 | 様式例の注記 | 決め方 |
|---|---|---|
| 性別 | 「記載は任意です。未記載とすることも可能です。」 | 書くか書かないかを自分で選ぶ |
| 連絡先 | 現住所以外に連絡を希望する場合のみ記入 | 希望が無ければ空けておく |
| 本人希望記入欄 | 給料・職種・勤務時間・勤務地などの希望があれば記入 | 空欄にせず、下の書き方から選ぶ |
性別欄は、注記のとおり記載するかどうかを本人が決められます。男女の選択肢から丸を付ける形ではなく、任意で書く形に変わった欄です。
パンフレットの説明では、連絡先は、現住所以外で常にすぐ連絡が取れる人や場所がある場合に書く欄です。同居している家族はここに当たらず、特に希望が無ければ書かなくてかまいません。在職中の方が今の勤務先を連絡先にするのは適当でないとされているので、気をつけてください。固定電話と携帯電話の両方を書きたいときは、連絡先欄を使わないなら「連絡先」の「電話」欄も使ってよいとされています。
本人希望記入欄は、3欄の中でいちばん迷いやすい欄かもしれません。様式の注記は「希望があれば記入」ですが、パンフレットでは空欄は適当ではないとしたうえで、次のような書き方を示しています。
- 特に希望が無ければ「勤務条件は貴社の規定に従います。」と書く
- 「○○職を希望します。」のように応募職種を書く
- 在職中で勤務中は電話に出られない場合があれば、その旨と連絡の受け方を書く
給与や勤務地などの具体的な希望があっても、ストレートには書かず、面接などの場で相談するのが一般的だとパンフレットは説明しています。私がこの欄に連絡の受け方を書いておくことをすすめるのは、パンフレットに電話に出られない時の連絡方法を書く例があり、面接日程の連絡を受け損ねにくくなるからです。在職中の方ほど、この一行が役に立つでしょう。
短期間の職歴やアルバイトは、消さずに書き方で整える
正社員を辞めたあと短期のアルバイトが続き、同じ業界へ応募する前に職歴欄の書き方で迷う。試用期間中に1か月で辞めた会社を、履歴書に書くべきか悩む。Yahoo!知恵袋には、こうした相談が寄せられています。書けば印象が気になり、書かなければ隠したようで落ち着かない。どちらを選んでも不利に思える気持ちは、自然なものです。
ただ、職歴欄の書き方には、公式の資料に基本の形があります。パンフレットでは、入社と退社を古い順に書くのが基本とされています。そのうえで、ご自身の職歴に当てはまる書き方を次の中から選んでください。
| 職歴の状況 | パンフレットで示されている書き方 |
|---|---|
| 派遣社員・契約社員・アルバイト・パートとして働いた | 雇用形態を括弧書きで添える方法がある |
| 卒業後にアルバイトをしていた | アルバイトであることを明記して書く |
| 学業期間中にアルバイトをしていた | 通常は書かない |
| 学業期間中のアルバイトで、仕事の内容が応募先の職務に関係している | アルバイトであることを明記して書く |
| 複数のアルバイトをしていた | まとめて書く記載例がある |
| 退職した | 「一身上の都合により退職」「会社都合により退職」などと簡潔に書く |

在職中の方は、職歴の最後の行に「現在に至る」と書きます。退職日が決まっていれば「現在に至る(令和○年○月末退職予定)」と書く方法もパンフレットに載っているので、使ってかまいません。職歴を書き終えたら、最後に「以上」と入れてください。
公式の資料で確かめられるのは、この基本の形とアルバイトの記載例までです。試用期間中の退職などで、自分の経歴がどれに当てはまるか判断できないこともあるでしょう。その場合は、ハローワークの職業相談窓口で書類の添削アドバイスを受けられます。在籍期間を実際とずらしたり、事実と違う経歴を書いたりするのは避けてください。
面接で職歴について聞かれたとき、履歴書と口頭の答えが食い違うと、応募者ご自身が説明に困ってしまうものです。私が履歴書と答えをそろえておくことをすすめるのは、パンフレットにあるとおり、面接では記載内容に基づいて質問されることが多いからです。短い期間の仕事をどう説明するか整理したい方は、転職の自己分析のやり方|30分で職歴を強みと求人条件に変えるで職歴を書き出しておくと、履歴書と面接の答えをそろえやすくなります。
職歴欄に書ききれない仕事の中身は、履歴書ではなく職務経歴書に書く内容です。履歴書の職歴欄は、会社名と入社・退社の事実を並べる欄だと考えると整理がつきます。
日付と志望の動機は、応募先ごとに書き換える
複数の求人へ応募するとき、中身を毎回ゼロから考え直す必要はありません。事実を写す6欄と、自分で決めた3欄は、応募先が変わっても同じ中身で使えます。書き換えるのは、日付と志望の動機などの2欄だけです。ただし本人希望記入欄に応募職種を書いた場合は、応募先ごとに職種名が合っているかを見直してください。
日付欄に入れるのは、書いた日ではなく提出する日です。パンフレットでは、郵送なら投函日、持参なら持参日としています。書き上げた日と出す日がずれることはよくあるので、最後に入れるほうが間違えません。
志望の動機・アピールポイントの欄について、パンフレットは次の3点を盛り込むよう示しています。
- 応募先企業を選んだ理由
- 自分の経験・能力のアピール
- 意欲
この3点は、応募先企業ごとに具体的な内容を検討するものとされています。コピーしたものや、不採用で返ってきた履歴書を使い回すと応募先の印象が悪くなる、という注意も添えられているほどです。手書きの場合は、共通の欄も応募先ごとに新しい用紙へ書き直すことになります。パソコンで作るなら、共通の9欄を書いた元のファイルを残し、応募先ごとに別名で保存して2欄だけ直すと管理しやすいでしょう。
事務職へ応募する場合は、事務職へ転職するときの志望動機|経験を「正確さ」だけで終わらせない4段階で、経験の伝え方を確かめてみてください。そもそも応募先を選んだ理由が言葉にならないときは、転職の軸の例6つ|求人選びと面接で使える「確認できる一文」への変え方から先に読むと、1点目の材料がそろいます。
提出する前に読み返し、写しを残して面接に備える
書き終えたら、提出の前に必ず読み返します。パンフレットが挙げている書き方の決まりをもとに、次の点を確かめてください。
- 誤字や脱字が無い
- 略号を使っていない
- 文体が「です・ます」調でそろっている
- 年号が和暦か西暦のどちらかに統一されている
- 学校名・企業名・資格名が正式な名称になっている
- 在職中なら職歴の最後に「現在に至る」、その下に「以上」がある
- 日付が提出日(郵送なら投函日)になっている
チェックが済んだら、応募先へ出す前にコピーを取っておきましょう。完成した履歴書の写しを取り、面接の前に確認するよう、ハローワークのパンフレットでも勧められています。
写しが要る理由は、面接では履歴書の記載内容をもとに質問されることが多いからです。だから私は、職歴や本人希望記入欄まで含めて、提出した履歴書の写しを面接の前に読み返すようすすめています。応募先ごとに志望の動機を書き換えていると、どの会社に何を書いたか混ざりやすいものです。面接の前日に写しを読み返しておけば、書いた内容と話す内容をそろえたまま面接に臨めるでしょう。
よくある質問
手書きとパソコン、どちらで作ればよいですか
応募先の指定があれば、その指定が優先です。パンフレットによると、今は手書きでもパソコンでも構わないとする企業が多く、特に指定が無ければ作成に充てられる時間などで判断してよいとされています。
性別欄を空けたままで提出してもよいですか
厚生労働省履歴書様式例では、性別欄に「記載は任意です。未記載とすることも可能です。」と注記されています。書くかどうかは、ご自身で決めてかまいません。応募先が独自の様式を指定している場合は、その様式の指示を確かめてください。
書いた履歴書をだれかに見てもらうことはできますか
ハローワークの職業相談窓口では、応募書類の添削アドバイスを受けることが可能です。履歴書の書き方などのセミナーも案内されているので、職歴の書き方で判断がつかないときの相談先として使えます。写真の撮り方や貼り方はこの記事では扱っていませんが、パンフレット「応募書類の作り方」に説明があります。
まとめ|転職の履歴書の書き方
転職の履歴書は、上から順に書かなくてかまいません。応募先の指定を確かめて様式を選んだら、厚生労働省履歴書様式例の11の記入欄を三つに分けて進めます。
- 応募先の指定を確かめ、指定が無ければ厚生労働省履歴書様式例を使う
- 11欄を、事実を写す6欄・自分で決める3欄・応募先ごとに変える2欄に分ける
- 性別・連絡先・本人希望記入欄を、様式の注記とパンフレットどおりに決める
- 職歴は入社と退社を古い順に書き、雇用形態の添え方などで整える
- 事実を写す欄を一度に写し、日付と志望の動機だけを応募先ごとに書き換える
- 提出前に読み返し、写しを残して面接の前に確認する
職歴の個別の事情で判断がつかないときは、ハローワークの窓口で添削を受けられます。履歴書とは別に、転職そのものの進め方や相談先を比べたい方は、転職のキャリア相談はどこへ?悩み別4つの相談先と選び方も参考にしてください。
無料相談
履歴書の書式や記入の決まりは、ここまでの手順とハローワークの窓口で整えられます。一方で、志望の動機を書こうとして手が止まった方もいるのではないでしょうか。応募先を選んだ理由が言葉にならない。転職の軸や自分の強みが定まらない。そう気付いたときは、書き方ではなく、進む方向そのものを整理する段階かもしれません。
そうした迷いを誰かと一緒に言葉にしたい方は、キャリアの相談サービスで考えを整理する方法もあります。相談は求人の紹介や書類選考の通過を約束するものではないので、ご自身の迷いに合うかどうかを確かめてから使ってください。
