求人票の仕事内容欄にある「電話対応」の文字で、応募の手が止まっていませんか。克服のコツを読んでも不安は消えません。「電話対応なし」の求人特集を開けば、今度は事務職から離れる話です。克服か諦めかの二択に見えてきます。先に結論です。苦手の全部を克服する必要はありません。この記事では、苦手を「練習で変わる部分」と「職場で決まる部分」に分けます。練習するのは変わる部分だけ。決まる部分は、求人票の仕事内容欄と面接の質問で確かめてから応募を決める。その手順を順番に説明します。
電話対応が苦手でも、事務職を選べないわけではない
結論からお伝えします。電話対応が苦手なことだけを理由に、事務職を選択肢から外す必要はありません。そう言える理由は2つあります。
1つ目は、電話が事務の仕事の一部であって、全部ではないからです。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag(ジョブタグ)」でも、一般事務の主な仕事は次のように紹介されています。
- 文書の作成
- データ入力や書類の確認
- メールや電話での連絡
電話だけで1日が終わる職種ではなく、机の上の作業が中心です。なお、一般事務に就くために、一律の学歴や資格が求められるわけでもありません。
2つ目は、苦手なまま働いている事務員が珍しくないからです。電話が鳴るたびに緊張する。そんな現役事務員の相談が、Q&Aサイト(利用者が質問と回答を寄せ合うサイト)へ今も投稿されています。注目したいのは回答の側です。「辞めるべき」ではなく、完璧を目指さずに付き合う工夫を勧める声が目立ちます。
つまり、考える順番が変わります。電話の負担は職場によって大きく違うため、「選べるか」は職場を見てから決められる話です。問いを「どの職場なら自分の許容範囲か」へ進めてください。
苦手を「練習で変わる部分」と「職場で決まる部分」に分ける

同じ悩みで検索すると、記事は2種類に割れています。克服のコツを教える記事と、電話の少ない別の仕事を勧める記事です。前のタイプは職場を選ぶ手順を扱わず、後ろのタイプは事務職から離れる前提で書かれています。事務職を選んだまま、職場の電話の負担を確かめる。その真ん中の手順が、ほとんど説明されていません。
だから多くの人が、苦手をひとまとめに「克服するしかない」と抱え込みます。実際には、苦手は次の2つに分けられます。
- 練習で変わる部分:聞き取りのメモ・取り次ぎの型・保留して確認する運び方
- 職場で決まる部分:1日の電話件数・最初に電話を取る人の分担・取り次ぎ表やマニュアルの有無
試しに、ご自身の不安を書き出して仕分けてみてください。「聞き取れなかったらどうしよう」は練習側です。メモと確認の型で小さくできます。「電話ばかりの職場だったらどうしよう」は職場側で、あなたの努力では変わりません。求人選びで確かめる項目に回します。
分けずに全部を自分の努力の問題にすると、どの求人にも不安が残ります。分けてしまえば、練習する範囲は小さくなり、残りは応募前に確認できる条件です。あなたの不安は、どちらの箱に多く入りそうでしょうか。
練習で変わる部分は、取り次ぎの型を決めて備える

練習といっても、完璧な聞き取りを目指す必要はありません。目指すのは、聞き取れなかったときに慌てない型を持つことです。型は3つで足ります。
- 会社名だけは確実に聞き取る
- 分からないことはその場で答えず、「確認して折り返します」で保留する
- 電話が鳴る前にメモの枠を作っておく(会社名・名前・用件・折り返し先)
なぜこの3つかというと、実際に働く人への助言と重なるからです。電話が怖いという現役事務員の相談でも、勧められていたのは全部を聞き取る訓練ではありません。会社名だけは確実に聞くという基準と、保留して確認する運び方でした。一度で聞き取る力より、確認しながら進める段取りが先という助言です。
私は現役の人事として、新人の電話対応を何人も見てきました。入社直後から完璧に取り次げる人は、ほぼいません。会社名を確かめて担当者へ正確につなげれば、最初の水準として十分だと私は判断しています。
なお、パソコンの苦手にも同じ「分けて備える」考え方が使えます。詳しくはパソコンが苦手なまま事務職を目指す判断をどうぞ。
職場で決まる部分は、求人票の仕事内容欄で確かめる

職場で決まる部分は、応募の前に求人票で見当を付けます。見る場所は仕事内容欄です。ハローワークの「求人情報の見方」でも、仕事内容は求人票の中で最も重要な項目の一つとされています。
手がかりは、「電話対応」という言葉の置かれ方です。
| 書かれ方 | 負担の見当 | 次の動き |
|---|---|---|
| 仕事内容の先頭近くに「電話対応」がある | 電話の比重が高い可能性 | 面接で件数と分担まで確かめる |
| 「その他付随業務」のように末尾へ添えてある | 比重は低めの見当 | 候補に残し、面接で念のため確かめる |
| 記載が無い | 見当を付けられない | 安心と読まず、面接で確かめる対象にする |
3つ目を安心と読まないでください。求人票に記載が無いまま、入社後に電話対応を任されたという相談も実際に投稿されています。求人票は手がかりであって、保証ではないからです。
あわせて、事務の人数も見てください。事務が1人だけなら、電話はほぼあなたが受けることになります。複数人なら分担の余地が残ります。件数と並んで、人数は負担を左右する条件です。
面接では、電話の件数と分担を数字で聞く

求人票で分からなかった部分は、面接で数字まで聞きます。質問は3つだけ準備してください。
- 1日に電話は何件くらいありますか
- 最初に電話を取るのは、どなたですか
- 取り次ぎ表や電話対応のマニュアルはありますか
大事なのは聞き方です。「電話が苦手なので、少ない職場を探しています」と伝えると、後ろ向きな印象だけが残ります。同じ内容でも、「入社までに練習しておきたいので、件数と分担を教えてください」なら準備の質問に変わります。
私が採用担当として面接で聞かれて印象が良いのも、この準備型の質問です。仕事内容を数字で確かめようとする応募者は、入社後のずれが少ないと感じています。
件数を聞く価値は、想像より大きいはずです。同じ「電話対応あり」でも、たとえば1日5件と50件では、負担がまるで別物ではないでしょうか。数字が出て初めて、あなたの許容範囲と比べられます。
不安が強いなら、電話の少ない事務求人から始める
ここまで確かめても不安が強く残るなら、克服を前提にしないでください。データ入力が中心の事務や、社内連絡が中心の事務など、電話の少ない事務求人は実際にあります。事務職を諦めるのではなく、電話の比重が低い職場から慣らしていく順番です。探し方は、さきほどの求人票の見方と同じです。仕事内容欄で電話対応の書かれ方が軽い求人から、候補を絞れます。
一つだけ、線を引いてほしいことがあります。電話のことを考えると動悸やめまいなど体の症状が出て、それが続いている場合です。実際の相談でも、症状が出ている事務員へは、カウンセリングの利用を勧める回答が寄せられていました。この状態は、求人選びだけで解決する話ではありません。職場選びと並行して、医療機関やカウンセリングにも相談してください。
そもそも自分は事務職に向いているのか。その迷いが残る方は、事務職に向いている人の判断もあわせてどうぞ。
よくある質問
事務職の電話対応は、仕事全体のどのくらいを占めますか?
職場によって大きく違うため、一律の割合は言えません。job tagの一般事務の紹介でも、電話は文書作成やデータ入力と並ぶ業務の一つという位置づけです。平均を調べるより、応募先ごとに件数と分担を確かめるほうが、あなたの判断に役立ちます。
面接で「電話が苦手」と正直に伝えてもよいですか?
苦手という言葉だけで伝えるのは、おすすめしません。準備も改善の見込みも伝わらないからです。「聞き取りに不安があるので、メモと確認の型で練習しています」のように、準備している事実とセットで伝えてください。受け取る側の印象が変わります。
電話対応なしの求人だけに絞ってもよいですか?
絞ること自体も選択肢の一つです。ただし該当する求人が減る分、給与や通勤など、ほかの条件で妥協が増えやすくなります。「電話対応あり」でも件数と分担を確かめ、負担の軽い求人まで候補に含めるほうが、選べる幅は広がります。
まとめ
電話対応が苦手でも、事務職を選べないわけではありません。大事なのは、苦手をひとまとめに克服しようとしないことです。
- 聞き取りのメモ・取り次ぎの型・保留の運び方は、練習で変わる部分
- 電話の件数・分担・マニュアルの有無は、職場で決まる部分
練習で変わる部分は、3つの型で備える。職場で決まる部分は、求人票の仕事内容欄と面接の3つの質問で、数字まで確かめる。この順番なら、「電話対応あり」の求人を前にしても、応募してよいかをご自身で判定できます。気になっている求人票があるなら、今日その仕事内容欄から確認を始めてみませんか。
無料相談
ここまでの手順で確かめても、「この職場で本当にやっていけるのか」という迷いが消えないことはあります。苦手との付き合い方には、記事だけでは答えを出しきれない部分が残るからです。
そんなときは、一人で抱え込まずにキャリアのプロへ相談してください。ポジウィルキャリアの無料相談は、求人を紹介する場ではありません。あなたの状況を整理するところから、一緒に考える場です。電話への不安をどこまで練習で補い、どこから職場選びで避けるか。この記事の切り分けを、ご自身の状況へ当てはめて言葉にするために使えます。
相談したからといって、転職の成果が約束されるわけではありません。それでも、応募を止めている迷いを言葉にするだけで、次の一歩は軽くなります。
