書類選考の不通過が続くと、書類のどこを直せばよいのか分からないまま、自分そのものを否定されたように感じることがあります。
先に答えを書きます。不通過の通知だけでは、あなたが落ちた理由は特定できません。自分の能力全体への評価と受け取る前に、次の3つを手元で確かめてください。
- 応募先の必須条件を満たしていたか
- 必須条件に対応する経験が、書類に事実として書かれていたか
- 結果待ちの応募を、不通過と一緒に数えていないか
そのうえで、次の応募では変える項目を一つだけに絞ります。この記事では、そのための照合表と記録表を記入例つきで紹介します。ここで紹介するのは振り返りを整理するための方法で、書類選考の通過を約束するものではありません。
この記事で使う言葉は次の意味です。
- 必須条件:求人票で「必須」「応募資格」などと書かれた条件です。資格、業務経験、勤務地や勤務時間などの勤務条件が当たります
- 歓迎条件:満たしていれば評価されやすいものの、応募の前提ではない条件です
- 結果待ち:応募したものの、まだ通過か不通過かの連絡が来ていない状態です
不通過の理由は通知だけでは特定できない
書類選考に通らなかったことだけを理由に、自分の能力が足りないと判断する必要はありません。企業によって見るところが違うことと、あなたの不通過の原因が分からないことは、別の話として分けて考えます。
転職サービスのdodaには、業界の違う3人の採用担当者が書類選考について話した記事があります。そこでは業務経験のほか、英語を実務で使っていたか、社風に合いそうかといった点を見るという意見が出ています。企業によって重視する点が違うことはうかがえますが、これは3社の担当者の意見です。すべての企業の不採用理由を示すものではありませんし、あなたの応募先がどこを見たかも分かりません。
分かることと分からないことを分けると、次のようになります。
| 区分 | 内容 | 次にすること |
|---|---|---|
| 分かること | 企業によって重視する点が違う | 応募先ごとに求人票の条件を読み直す |
| 分かること | 自分が必須条件を満たしていたか | 次の節の照合表で確かめる |
| 分かること | 書類に何を書いたか | 提出した書類を手元に残して見直す |
| 分からないこと | その企業が不通過にした本当の理由 | 推測で決めつけず記録だけ残す |
添削を受けたのに不通過が続き、理由が分からずに落ち込むという相談は、ネット上の質問サイトにも見られます。理由が分からない状態で自分全体を責めると、どこを直せばよいのかがかえって見えにくくなります。まずは確かめられることだけを確かめていきます。
応募先の必須条件と自分の経験を照合する

書類選考が続けて通らないときは、書類を書き直す前に、応募先の必須条件を満たしていたかを確かめます。必須条件を満たさない応募が多いなら、書類より先に応募先の選び方から見直します。
人材紹介会社のギークリーが公開している記事でも、書類選考に通らない原因の一つとして、求人の要件と応募者の経験が合っていないことが挙げられています。ただ、自分の応募がそれに当たるかどうかは、求人票と自分の経歴を並べてみないと分かりません。
応募した求人ごとに、次のような照合表を作ります。以下は架空の求人を使った記入例です。
| 確認する項目 | 求人票の記載 | 自分の状況 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 資格 | 日商簿記2級以上 | 3級のみ | 満たさない |
| 業務経験 | 経理の実務経験 | 営業事務で請求書の発行を担当 | 一部 |
| 勤務条件 | 本社勤務・週5日出社 | 通勤できる範囲で出社も可能 | 満たす |
判定は「満たす」「一部」「満たさない」の3つで十分です。記入するときは次の点に気をつけてください。
- 求人票の「必須」と「歓迎」を混ぜない。歓迎条件を満たしていなくても、それだけで応募を外す必要はありません
- 「一部」と判定した項目は、どの経験が近いのかを「自分の状況」の欄に具体的に書く。これが次の節で書類を直すときの材料になります
- 勤務地、勤務時間、雇用形態などの勤務条件も必須条件として扱う。経験が合っていても、条件が合わなければ選考が進まないことがあります
照合表がそろったら、不通過になった応募のうち「満たさない」がある応募がいくつあるかを数えます。多く混ざっているなら、書類を直すより、必須条件を満たす求人に応募先を絞る方が先です。すべて「満たす」か「一部」なら、次の節で書類を確かめます。
経験が伝わる書類になっているか確認する
職務経歴書で最初に確かめるのは、求人の必須条件に対応する事実が書かれているかどうかです。条件を満たしていても、書類に書かれていなければ、読む側には伝わりません。
エージェント経由で応募しても、経験の伝わり方や応募企業との相性によって書類選考に通らないことがあると、パソナキャリアの記事でも説明されています。伝わり方は、自分で確かめて直せる部分です。
前の節の照合表から、必須条件を1行ずつ取り出して、書類のどこに書いたかを確かめます。記入例は次のとおりです。
| 求人の必須条件 | 書類に書いた事実 | 書いた場所 | 足りないこと |
|---|---|---|---|
| 経理の実務経験 | 「営業事務を担当」とだけ記載 | 職務経歴の一覧 | 請求書の発行や入金の確認を担当した期間と件数の目安 |
| 表計算ソフトの操作 | 記載なし | なし | 集計表を作っていた業務の内容 |
| 本社勤務・週5日出社 | 記載なし | なし | 出社できることを応募書類か備考で伝える |
確かめるときの観点は次の3つです。
- 業務の名前だけでなく、担当した範囲と期間が書かれているか
- 「丁寧に対応した」のような言葉ではなく、何をしたかという事実が書かれているか
- 求人の必須条件に近い経験が、書類の後ろの方に埋もれていないか
書き方そのものに迷う場合は、厚生労働省のハローワークインターネットサービスにある応募書類の作成に関する案内が参考になります。応募書類の作成資料や、職務経歴を整理するためのワークブックが公開されていて、ハローワークの窓口での添削や面接のセミナーも案内されています。
次の応募で変える一点と結果を記録する

不通過の理由が分からないときは、一般的な通過率に自分を当てはめるより、自分の応募を条件ごとの組に分けて記録し、次の応募で変える項目を一つに絞る方が判断しやすくなります。一度に複数の項目を変えると、結果が変わったときに、どの変更が効いたのかが分からなくなるためです。
記録は次の手順で進めます。
- これまでの応募を一覧にし、応募日と応募先を書く
- 応募ごとに、前の節の照合表で付けた必須条件の判定を書き写す
- 提出した書類に「版1」「版2」のように名前を付け、どの版で応募したかを書く
- 結果を「通過」「不通過」「結果待ち」の3つに分けて書く。結果待ちは不通過として数えない
- 必須条件に「満たさない」がある応募と、すべて満たしている応募を分けて、それぞれの結果を見る
- 次の応募で変える項目を一つだけ決め、「今回変えた一点」の欄に書く
- 同じ版で数社分の結果がそろってから、変えた一点の前後で結果を見比べる
たとえば8社に応募して、3社から不通過の連絡が来た段階なら、残りの5社は結果待ちです。この時点で結果待ちの5社まで含めて「8社とも駄目だった」と受け取ると、実際より悪い状況だと判断することになります。
記録表の記入例は次のとおりです。
| 応募日 | 応募先 | 必須条件の判定 | 書類の版 | 今回変えた一点 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 9月2日 | A社 経理 | 満たさない項目あり | 版1 | なし | 不通過 |
| 9月4日 | B社 経理補助 | すべて満たす | 版1 | なし | 不通過 |
| 9月10日 | C社 経理補助 | すべて満たす | 版2 | 職務経歴に請求業務の期間を追記 | 結果待ち |
変える一点は、次の順で選ぶと迷いにくくなります。
| 記録から分かったこと | 次に変える一点 |
|---|---|
| 必須条件を満たさない応募が不通過の多くを占めている | 応募先の選び方(必須条件を満たす求人に絞る) |
| 必須条件は満たしているが、書類に対応する事実が書かれていない | 照合表で「足りないこと」に書いた箇所を一つ追記する |
| 必須条件も満たし、事実も書かれている | 必須条件に近い経験を書類の前の方へ移す |
どれを選んでも、効果が出るとは限りません。それでも、変えた項目と結果を記録しておけば、次に何を試すかを推測ではなく記録から選べるようになります。
働き方の軸が決まらないときの相談先
ここまでの照合と記録は、この記事の表を使えば一人で進められます。それでも手が止まる場合は、自分の困り事が「書類の書き方」なのか「どんな働き方をしたいかが決まらないこと」なのかを分けてから、相談先を選びます。
| 困り事 | 相談先の例 | 扱う範囲 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 書類の書き方が分からない | ハローワークの窓口 | 応募書類の添削や面接のセミナー | 無料 |
| 自分の興味や価値観を整理したい | マイジョブ・カードの診断 | 興味・技能・価値観の診断による自己理解の手がかり | 無料 |
| 働き方の軸そのものが決まらない | 有料のキャリアコーチング(POSIWILL CAREERなど) | 価値観の整理やキャリアの設計 | 有料 |
マイジョブ・カードの診断は、自分を理解するための手がかりとして案内されているもので、診断の結果で向いている仕事や採用が決まるわけではありません。
応募先の条件を決める前の段階で、何を大切にして働きたいのかが定まらない場合は、有料のキャリアコーチングも選択肢になります。たとえばPOSIWILL CAREERは求人の紹介を行わないキャリアコーチングで、転職を前提にせず、価値観の整理やキャリアの設計を扱うサービスです。求人の紹介や応募書類の添削を受けたい場合は、目的が違うため、先に挙げた公的な窓口などを検討してください。
まずは、不通過になった応募の求人票と提出した書類を並べ、照合表の1行目を埋めるところから始めてみてください。

